ついに第三部。盛り上がりしかないでしょう!?というわけでエキサイティングゾーンのスタート。
 ♪遠い空のかなた・・・(んっ!?)、♪細胞の奥でも・・・(あれっ!?)、♪追いかけても・・・(おいおい、もしかしてこれって・・・)という僕のとまどいとはよそに、すでにオーディエンスは大合唱体制。
 黒瀬尚彦さんのハードなギターに引っ張られ、なんと「マニアの受難」へ!!おそるべし架空楽団!!ライダーズ・マニア決起大会さながらの大合唱で歌われる「マニアの受難」。こういう受難なら大歓迎だ。ステージはさらに「バラと廃物」へとどんどんボルテージを上げていく。

 そして第二のゲスト・コーナーへ。かしぶちさんだあっ!!えっ!?ドラム叩いてくれるの!?ともう興奮状態。しかも山田さんが歌うのかと思えば、山田さんはドラム・セットにマイクをセットしだす(^^;)。これは歌わせるしかないっ!と、


「叩き語りー?」と大声で叫ぶ僕。盛り上がる客席。かしぶちさんは予期せぬことの運びにちょっと参ったなあという表情を見せつつ、「叩き語りかい?」と微笑。
「じゃあ、あがたヴァージョンで・・・」と不朽の名曲「リラのホテル」へ。♪つーかのーまのー・・・あのアンニュイなヴォーカルがこんな間近で聴けるとは!!しかもドラムを叩きながら!!肝心のバッキングの演奏のほうがちょっとちぐはぐだったのが残念だったけれど、叩き語りでフル・コーラス歌ってくれたのに感激。演奏後、「本当に叩き語っちゃったよ」とおっしゃったときのお茶目なかしぶちさんの表情が良かった。

 さて、何度も言うように「初期から最新作までまんべんなく」選曲するというのが、架空楽団の重要なコンセプト。と、いうことで演奏されたのが「春のナヌーク」! !僕自身、「ビザーレ・ミュージック・フォー・ユー」のなかではいちばん思い入れのある曲なので、この場所でも聴けたことをとても嬉しく思った。黒瀬さんのギターがよく歌っている。パワフルでスピーディながら、けっして突き抜けない哀愁があるのがこの曲の魅力だ。そして、突き抜けない理由も、僕らは知っている。♪未来へと群れが走る 夢を食べ尽くして・・・そういいうことだ。

 3人目のゲストはもちろん博文さん。「あがた森魚とライダーズを結ぶ曲」とのことで「大寒町」へ。博文さんの歌声がとにかく素晴らしいものだった!!本家の貫禄というか、架空楽団を食ってしまうほどの存在感。この博文さんの歌声が聴けただけでも来たかいはあった。


「誰だ!?単なるコピーバンドって言っていた奴は(^^;)。」 と黒瀬さん。ありがとう、黒瀬さん。一生、ついていきます(^^;)。
 山田さんの歌声が相変わらず映えるあがたナンバー「ふらむきりんの校庭」、そして、「トンピクレンッ子」では石原さんがリード・ヴォーカル。客席はもう大盛り上がり大会&大合唱大会。♪ワッホホ ワッホッホ ホー・・・。

 ステージはクライマックスへなだれ込む。これまた選曲に感謝の「YBJ」!!そしてすべてのライダーズ・ファンにとっての新たなる団結歌「BEATITUDE」!!
 ♪夢の数だけなら負けはしない 傷の数をかぞえたら十万億・・・それでいいんじゃないかと僕は思う。せいいっぱい生きるということは、たくさん傷つくということだ。でも夢だけはずっと抱いて生きていきたい。

 アンコールではふくみ嬢のヴァイオリンをフューチャーした、我がAcid Moonのテーマ・ソングでもある「Acid Moonlight」、そしてあがたナンバー「百合コレクション」は当然のこと大合唱。そして「BEATITUDE」と並ぶ、世紀末の決意表明ソングともいうべき「HAPPY/BLUE'95」で大団円。僕もせいいっぱい拳を振り上げて一生懸命歌った。架空楽団のライヴはやはりライダーズ・ファンのためのライヴなのだ。

 おおよそ30曲を越えるボーナス感たっぷりの内容には満足。それにしても、良い演奏だったし、良いライヴだった。僕が架空楽団のライヴを観たのは今回がはじめてだったけれど、何度か観ているコアなファンに言わせても、「今回のライヴは過去最高のものだった」そうだ。そうだろうなあ、と思う。ゲストが豪華だったとかそういうことではなく、ふんだんに使われた映像から、ステージングやアレンジの細かな構 成にいたるまで、18年という継続(これは伝統という言葉とも置き換えられる)と、ライダーズに対する最大のリスペクトががたっぷり込められている。そして、これは当然、単なる道楽なんてものではなくて、「使命感」にあふれた一大ライフ・ワークの結実した形だ。
 架空楽団、お疲れさま。そしてどうもありがとう。



 Reported by KAZUTAKA KITAMURA
 Photo by J.YAMANISHI (MRWS)


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