そしてステージはクライマックスへ。
 大胆にもテクノ的なアレンジをほどこされた「眩暈」に続き、ちょっとゆったりとしたテンポの「ひまわり」!!♪バッパーパパパーと一緒に歌いたかったのに(10年間待っていたのに)、なぜに美味しいあのメロディをSaxに吹かせてしまったのだろうか?でも生で聴けたのには感動する。「水が氷になるとき」「フレンズ」と続き、かしぶち節のオン・パレード!!
 そして「Frou Frou」だあっ!!オリジナル・アレンジに近いアグレッシヴなサウンドでみんな大喜び。みゆき嬢とふみえ嬢はAメロではGo Goダンスを踊っていたのであった。
 しかし、詩を見ながら歌っているのに、かしぶちさんの歌っている歌詩がまちがいだらけ(^^;)だったというのはここだけの内緒(おまけにコーラスの女性陣も間違えていた)。そしてラスト・ナンバーは「ある夏のマリアージュ」。ほどよい盛り上がりで本編は幕を下ろした。

 アンコールは待ってましたの「リラのホテル」!!鍵盤、ギターの弾き語り的な感じではじまり、バカボンさんのベースが入り、という風に次第に音が加えられてゆく構成。でもドラムレスのアコースティックな編成と思っていたら・・・。
 最後のバースを歌い終わると、かしぶちさんはドラム・セットへ!!ここで会場内は期待に満ちあふれる大きな拍手。かしぶちさんのドラミングによる「リラのホテル」がインストで奏でられたのだ(レコードではドラムレス)!!ボッシさんのドラム・セットであるせいか、若干叩きにくさそうな感じもありつつ、やはりかしぶちさんのドラミングは圧巻!!そしてなんという美しいメロディなのだろう。涙が出そうになる。
 そして「Fin」のオケが会場に流れ始める。バックのメンバーが引っ込んでしまったのでもう終わりかな?と思いきや、ミシェル・ルグラン・オーケストラによる重厚なカラオケをバックにかしぶちさんは熱唱し、10年ぶりのライヴは幕を下ろした。

 以上、ムーンライダーズ、ソロ・キャリア、ソングライターとして様々なひとに提供した楽曲のセルフ・カヴァー、そしてトウキョウローズという新たなキャリアの予告編を含めた、まさに総括的内容の豪華なライヴだった。10年間待っていたひとには、まさに<予期せぬ音楽の贈り物>だったのではないだろうか?

 かしぶちさんのソロの音楽性において、かしぶちさんに変わるひとはいないわけで、僕はどうしてもソロでの定期的な活動を切望したい。もちろん、トウキョウ・ローズにも期待するのだけれど、映画音楽を手がけたりなどいろいろ演りつつも、たとえば博文さんのようにソロ作をコンスタントに発表してくれたらなあ、と思うのである。
 もともと1曲1曲を凄い煮詰めて書くタイプのソング・ライターだから、毎年というつもりはないのだけれど、「Fin」が出たのが7年振り(サントラは除く)、ライヴが10年振りというのでは、どう考えても寂しすぎるのである。
 確かに待つだけの甲斐のあるものを創りつづけてくれてはいるんだけれど・・・。
 かしぶちさん、もっともっと歌声を聴かせてください。
あと、ソロでももっと生ドラム叩いてください。ドラマーなんですから(^^;)。
以上、23歳のテツラーからのお願いなのでした。


Reported by KAZUTAKA KITAMURA (MRWS Special Agent #003, Acid Moon)   

セットリスト

Tetsuro Kashibuchi
and TOKYO ROSE