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■ムーンライダーズ ディスコグラフィー
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#MDC7_1079

リラのホテル
HOTEL LILAS

かしぶち哲郎
Tetsuro Kashibuchi

(1983)

Original Release 1983.06.21

Disc Number (LP) C28A0277 (CT) 28P6238

Manufacturer CANYON

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SIDE A

  1. ひまわり
     作詞・作曲:橿渕哲郎 編曲:橿渕哲郎・矢野顕子
  2. リラのホテル
     作詞・作曲:橿渕哲郎 編曲:橿渕哲郎・矢野顕子
  3. Friend
     作詞・作曲:橿渕哲郎 編曲:橿渕哲郎・矢野顕子
  4. 冬のバラ
     作詞・作曲:橿渕哲郎 編曲:橿渕哲郎・矢野顕子
  5. 屋根裏の二匹のねずみ
     作詞・作曲:橿渕哲郎 編曲:橿渕哲郎・矢野顕子

SIDE B

  1. Listen To Me, Now!
     作詞・作曲:橿渕哲郎 編曲:橿渕哲郎・矢野顕子
  2. 朽ちた恋
     作詞・作曲:橿渕哲郎 編曲:橿渕哲郎・矢野顕子
  3. 恋ざんげ
     作詞・作曲:橿渕哲郎 編曲:橿渕哲郎・矢野顕子
  4. 憂うつな肉体
     作詞・作曲:橿渕哲郎 編曲:橿渕哲郎・矢野顕子
  5. 春の庭
     作詞・作曲:橿渕哲郎 編曲:橿渕哲郎・矢野顕子

Producer: Tetsuro Kashibuchi
Co-producer: Akiko Yano

COMMENT

1st Solo Album

DATA

 

Original Release

●1983.06.21 (LP) C28A0277 / (CT) 28P6238 CANYON

 

Re-issue

●1991.08.21 (CD) MDC7-1079 MIDI

●2013.08.14 (CD) MDCL-5013 MIDI

 それまでの10年間に書きためていた50数曲のストックのなかから選ばれた全10曲ということで、ファースト・ソロ・アルバムながら、ほとんどベスト・アルバムと言っても過言ではないほどの名曲揃い。かの不朽の名曲「リラのホテル」は なんと高校生のときに書かれた曲だというのだからいやはや恐れ入る。ほかにも「春の庭」もはちみつぱい時代に演奏されていた古い曲である。

 かねてからかしぶちワールドの虜だった矢野顕子が、熱烈にサポートしたエピソードは有名だが、やはり彼女の功績は大きい。共同プロデュース、選曲から、アレンジ、キーボードやピアノのプレイ、そしてもちろんデュエットやコーラスで、矢 野顕子の活躍振りがたっぷりと堪能できる。純粋たる矢野顕子ファンにもたまらない内容だろう。

 かしぶちさんの音楽によくつきまとう「無国籍」な空気は当然濃厚である。特に「リラのホテル」や「冬のバラ」「春の庭」などのワルツ調の楽曲は、かしぶちさんならでは個性豊かな世界だ。サウンド的にも、坂本龍一や矢野誠による豪華なオ ーケストレーションが施されていたり、「マニア・マニエラ」延長上のサウンドを感じさせたり、ライダーズの「砂丘」に続き児童合唱団のコーラスをフューチャーしたり、意図的に歌謡曲的な路線を実践したりと実に表情豊か。
 どこの断面を見てみても、かしぶちさん以外には誰にも作ることができない、いや、真似することすらできないだろう完成度の高い音世界であり、圧巻である。

 そして、そんなオリジナリティあふれる音作りにとどめをさしているのが、矢野顕子とのデュエットなのだ。慶一さんプロデュースの鈴木さえ子の1stが同時期だったこともあり、同じドラマーの初のソロ作であるうえ、デュエット的要素が共に あると比較されたりしたが、正統的なデュエット・アルバムとして成功しているのは明らかにこのアルバムだ。ただ、そもそもさえ子さんの1stをデュエット作と捕らえるのは間違いな気がするのが・・・。

 かしぶちさん曰く、ヴォーカルに関してはさりげない、さらりとした感じを求めたということで、歌い上げるような歌いかたにはあえて距離を置いたのだそうだ。かしぶちさんのヴォーカルに弱さが目立ってしまうのがこのアルバムの唯一の弱点 だろうが、そういったマイナス点を差し引いたとしても、この傑作アルバムの評価はたいして揺るがない。  参加ミュージシャンも良明さん、細野晴臣、松任谷正隆、大貫妙子etc 実に豪華な顔触れである。

 あと忘れてはいけないのが、私小説的、幻想的、映像的な詩の世界である。2nd「彼女の時」からは、もうひとつのかしぶちさんのカラーである「官能美」が全面に押し出されるようになるので、「リラのホテル」でしか堪能できない詩の世界が あることも留意されたし。この路線での新曲にもまた期待したいところである。

                             Kazutaka Kitamura