架空楽団ライブ・イン東京 '99

「ムーンライダーズBAKA!」

1999.8.16 渋谷オンエアウエスト




【第1部】

「本日のワールドツアー東京公演は3部構成になっており…」
「夏の日の恋」をバックに厳かに流れる場内放送に、客席はにんまり。「休憩時間中にも、ここでしか見られないビデオが上映されますので…」というコメントに歓声と拍手が上がる。ほぼ満員の観客の手には、入場の際に配られた「ムーンライダーズBAKA!あがた森魚CRAZY!」うちわ。いやがおうでも別名「夏のムーンライダーズ祭り」の雰囲気が盛り上がる。オンエアウエストはキャパ300人位だろうか。広いとは言えないが天井が高くホールっぽいスペースである。ステージ中央には大きなスクリーン、左右にはTVモニターが数台セッティングされており、お得意の映像も期待できそうだ。アナウンスに続き、スクリーンにメンバー紹介のビデオが流れ始める。これがまた楽しくて大ウケ!ノリノリのBGMはビートルズの「ゲットバック」と思いきや、ラトルズではないか。ニセモノにはニセモノを、という心憎い演出!その間にメンバーがステージへ登場。総勢11名。全員黒でキメている。

映像は燃えさかる炎に変わり、DrとGが鳴り響く。オープニングは「無職の男のホットドッグ」。いきなりのハイテンション。のっけから挑発的だ。Vo山田さんの「We are 架空楽団!」という叫びとともに、バグパイプ風の音色もライダーズそのままに「羊のトライアングル」へ!次は一転してニューウェイヴ時代の「別れのナイフ」。昨年の「ディスコボーイ」に続くB級発掘シリーズということか。
ライブで演奏されることがない曲を完コピで聴かせるという、架空楽団の本領をいきなり発揮したオープニング3連発。

続いてはあがた森魚コーナーへ。波のSEにかぶさって「溺れろ伊達野郎」。さすがニセあがた山田さん、歌いだした途端に俄然勢いづく。Gの黒瀬さんは心地よいフレーズをさりげなく入れていく。次の「Rの解答」は伝説のLP「乗物図鑑」から。廣岡さんのチェンバロ風のKeyをバックに、山田さんがしっとりと語る。胡弓風のVlnが不思議な雰囲気を醸し出す。そしてこの日の白眉といってもよいと思う「バンドネオンの豹」に続く。Vlnとアコーディオンが前面に出た音は、昔のライダーズがバックをつとめているような感じ。しかしやはり何といっても山田さんのVoだ。この難曲を歌いこなし、バックの演奏を完全に食ってしまった。曲が終った瞬間、息を飲む。凄いものを見てしまったなと思った。

余韻が残る中、この日最初のゲストが登場。初共演となる白井良明さんである。「なかなか出られなくてごめん!」と挨拶の後、Egで一人弾き語りを始める。曲は「春のナヌーク」だ!間奏から雪崩れ込むようにバンドが加わる。ソロでは白と黒のGバトルで、黒瀬さんはひたすら嬉しそう。そして「トンピクレンッ子」。いきなりご本家のライブのアンコールそのままの狂騒状態。良明さん、貫禄充分でめちゃくちゃかっこ良かった。続いて「ライダーズの作詞者の登場です」と、サエキけんぞうさんが紹介される。まずサエキさんから、ゲスト予定の鈴木博文さんがまだ自宅にいるという情報。間に合うのだろうか。曲は「君に青空をあげよう」。1週間前に初めて練習してみて難しさがようやく分かったという。慶一さんからも
「あの曲、すっげえ難しいよー」と脅されたらしいが、お手製の「翼付き」純白衣装で危なげのない歌いっぷり。爽やかな雰囲気で第1部が終了。

休憩時間も、サエキさん主催のイベント「DriveTo2000」のPRと、ライダーズの新作レコーディング風景のビデオが。どちらも架空楽団の特製とのことだ。





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