98年4月のパワステで演奏された「Mr.Sunshine」を含む、プロデュース・アレンジ曲を集めたオムニバス・アルバム。A面がYMO編、B面がムーンライダーズ編という構成。
B面に話をしぼると、まずリサ。マルシン・ランチバーグ・CMソングとして作られた「私の恋は自由型」をA面として、シングル(JAS2049)としてリリース。シングルのジャケ写真以外に、本人については不明。ハーフまたは沖縄出身風の顔立ちの女の子。
「私の恋は自由型」は、ひとことで言えばウィスパー・ヴォイスのサーフィン・ポップス。もっとも、ウィスパーなのは、日本語の発音のつたなさと、ちょっとオフ気味のヴォーカルのせいですが。全員ではないかもしれないが、ムーンライダーズ+矢口博康であろうバッキングです。この曲は鈴木慶一編曲ですが、後年の白井良明による伊藤美紀の「RISAの片想い」につながります。 「Mr.Sunshine」は、いかにも、くじらさんというトランペットのイントロから始まる、鈴木博文作らしい夏の夜明けの曲ですが、水族館員のVOICEも思わせる曲。歌詞に出てくるセイラーは、ムーンライダーズだけでなく、水族館員にも縁の深いモチーフ。提供曲で、鈴木博文の作詞作曲編曲というのはひじょうに珍しい。女言葉の部分もあるけれど、作者本人が歌ってもいい曲だと思ってましたが、よくぞやってくれました。
「抱きとめて」は、A面にも収録されている(細野晴臣作編曲)元キャンディーズの藤村美樹のアルバム「夢・恋・人」収録の曲。ギターが印象的な名曲。この曲の路線は、黒沢ひろみのアルバムで継続されてます。
このアルバムには、他にも「アフリカン・ファンタジー」という白井良明編曲の曲があります。(松尾由紀夫作詞/藤村美樹作曲)鈴木慶一を除く全員と矢口博康、「アフリカン」では高橋幸宏と中原信雄が入れ替わって参加してます。
「うわきわきわき」は、ジャパンで2枚のアルバムをリリースしたビジネスの80年のデビュー曲。スペシャルズ、マッドネスなどのニュー・ウェーヴ・スカの日本的消化形。ヴォーカルの美空どれみのパワフルな歌唱の名曲。美空どれみは、ビジネス解散後、スウィッチから巻上公一とのデュオも出しており、最近もバンドをやっています。96年にクロコダイルで見ました。
スクーターズは、今や有名人の信藤三雄さんがギターだった、モータウン風女性ヴォーカル・グループ。最近も、アナログが復刻されたりしているので、ちょっと有名。鈴木慶一が編曲を担当したのは、小泉今日子もカヴァーしている「東京ディスコナイト」をA面にした、湯村輝彦がジャケットを書いた83年のシングル。(JAS2046)テレビ東京でやっていた「AカップCカップ」という天知茂が社長役だった下着会社が舞台のコメディドラマの主題歌。ファースト・アルバム収録曲の再録音でした。「恋のバカンス」は、もちろんザ・ピーナッツのカヴァー。
A面収録曲では、伊藤つかさの、高橋幸宏作編曲の「風になって」が名曲です。(アルバム「さよならこんにちは」収録)
アルバムタイトルは、当時有名だった歌謡曲ミニコミ誌「よい子の歌謡曲」からとってます。
text: 古澤清人 Kiyohito Furusawa
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