#H33P20086
Perl is Future 未来はパール
PEARL is Future

パール兄弟
PEARL BROS.

(1986)

Original Release 1986.06.25
Disc Number (LP) 22MX1242
(CD) H33P20086
Manufacturer POLYDOR
 レコードやCDを作らないで、1時間くらいのオリジナル中心のライヴが続けてできるようになった頃というのは、バンドとそのファンにとって、いちばん一体感がある時期かもしれません。そういう時に作られたファースト・アルバムというのは、ファンにとっては、愛着を持ってライヴで楽しんできた曲が、どのようなかたちで録音されるのか、期待も不安も大きいものです。岡田徹プロデュースで作られた、このパール兄弟のファースト・アルバムは、まさにそのようなアルバムでした。
 83年くらいから、他人のライヴに乱入するのをスタイルとして、リハーサルをしないバンドとして佐伯健三、窪田晴男、中原信雄、浜田康史の4人でスタートしたパール兄弟は、途中、中原信雄がバカボン鈴木に代わり、85年頃には、真面目にメインでライヴをやるバンドになっていました。 ハルメンズ時代の「焼きソバ老人」なんかもやってましたが、85年当時、「バカヤロウは愛の言葉」は、既に人気曲でしたし、ラストは、「快楽の季節」で、かぶりものをした佐伯健三が、絵を描いた白幕の真ん中をぶち抜く、というパフォーマンスで終わるというのが決まりでした。
アルバムを作るに充分な曲数があり、演奏を重ねるうちに、演奏する側も、聴く側も、曲を自分達のものにしていく。そんなライヴで育てた曲を携えてのレコーディングだったわけです。岡田徹のプロデュースは、そのアーティストの元々の持ち味をある程度生かす、という方向になることが多く、窪田晴男のギターとバカボンのベースを中心に、もう既にできあがっていたバンドであったパール兄弟のプロデューサーとして、適任であったと思います。
 ただ、「フライト・レコーダー」によると岡田氏のアイデアだったらしいビッグバンド風のアレンジは、ライヴでやっていたアレンジが、当時のパール兄弟の王道の、窪田晴男のギターをフューチャーした勢いのあるものだっただけに、他の曲が、歌詞は一部変えられたものがあるものの、ほぼライヴでのアレンジを基本にしていた中で、この曲だけ変えられてしまったのが残念です。
 メジャーデビューが決まった後の、85年12月のライヴから、ドラムが、丁度同時期にやはりメジャーデビューが決まったヴァリエテとかけもちしていた浜田康史から、森雪之丞のマイティオペラで窪田晴男と知り合った松永俊弥に変わりました。この時のライヴでは、オリジナルメンバーの中原信雄も現れ、新旧メンバーでの演奏が行われました。
 このアルバムは、今聴いても、ほんとに曲が粒ぞろいです。佐伯健三の歌詞は、レコーディングにあたって若干変更はあったものの、このパール兄弟の初期がいちばん良かったと思います。ちょっとシニカルな視点からの鋭い歌詞が次々に書かれていた頃でしょう。それに、佐伯健三という人は、MCの達者さや、長い手足という視覚的特徴によって、ライヴではロック・ヴォーカリストとしての線の細さがカヴァーされていたので、そうした点からも、ライヴを多くやっていたこの時期がピークだったかな、と思います。
 発売当初、LPは9曲入り。「ハレ・はれ」と「江戸時代の恋人達」の口笛ヴァージョンはCDのみの収録でした。

text: 古澤清人 Kiyohito Furusawa

Produced by TORU OKADA
<< アルバム・データ

Original Release
●1986.06.25 (LP) 22MX1242 POLYDOR
●1986.06.25 (CD) H33P20086 POLYDOR
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