例えば、ライブ後のアンケートについてもご覧になりますよね。

うん、みるよ。
ただアンケート用紙はね、コンサート中でしょ。次があるとするじゃない。そ ういうばあいは読まないよね。結構アンケート用紙ってね、さまざまだか ら。誉めるのももちろんあるけど、けなすのもすごいからね。
ライブをコンティニユーしている途中でそういうのを見ると、結構いや になっちゃうからね。終わってから見る(笑)
だから、最終日の打ち上げってあるよね。そこで回覧するんだよ、みんなに。

書く方も暗いところで書いてるとかさ、帰らなきゃいけないときに書いてると か。短時間で書いてるわけじゃない。
中にはあとで送ってくる人もいるよ。それはもうびっしり書いてある。
ファンレターももちろん送られてくるものにはすべてに目を通してる。

なるほど。
今の話しのようなアンケートの場合は、いわばライダーズが提示したものに対 する感想ですけれど、NIFTYでのみんなの発言を見てると、そういった感想と は別にムーンライダーズに質問したいこと、沢山ありそうだな、と思うのです けれど。
例えば、ムーンライダーズのアルバムやライブにちりばめられている「暗号 」を解読するためのヒントだとか、そういうものって、ディープなファンは本 当にほしがっているのではないかな、と。

まあ、暗号に関してはさ。
誤解してもらっても、まあそういう捉え方もあるんだ、っていうことですよ。 秘密をひもとくようなことは、勝手にやってくれれば。

「ムーンライダーズの夜」のあのライブはさ、あのアルバムの世界を更にわか りやすく伝えようと思ったものなわけなんだけれども。
例えば、ステージの上にテーブルがおいてあって、裸電球があって。
それはオレの演出上の意図としてはさ、深い意味はなくて、かつてのウルト ラヴォックスのコンサートのようにさ、戦時下の燈火管制っていうんだっけ、 ようするに空襲の時のいわゆる非常時のイメージをだそうとしたんだけど、 ある人は、「あれは取調室ですかねえ」って。「取調室?そうとも言えるな」 とは思ったけど。

偶然とはいえ、ある意味偶然は必然だから、それはいい捉え方だよね。
私の本来の意図ではないけれど。(笑)
後ろのレンガの壁だってさ、一応廃墟っぽくっているのはあったけど、刑務所 っぽいとかね。
意味はあるけれども、あるものはそんなに深い意味は無かったりするだよね。
そこらへんに目を付けるっているのは、なかなかおもしろい。

先日のコンサートで「白い旗」がありましたけど。

あの旗はね、ほんとに意味ナイよ。
ロバートレッドフォードのね、 西部劇があるんだけど、そこで見て「これはいい」と思っただけなんだけど。 白旗を普通の枝の上に結びつけてるだけ。それでそういう写真を撮ろうと思っ たわけだ。カンテラを持って夜から出てくるような写真を撮ろう、と思ったわけ。
要するに「私たち降参します」っていう写真を撮ろうと。

まあ、それは例えば「ただいま」って曲でね、「無力の力」っていう言葉が出 てくるけれどもそれとつながってるのかもしれないけれど、ただ、思いつきな んだよね。
それをステージにおいて白旗を持って出てくるっていうのは、違う意味でとら えようと思うと、とらえられるわけでしょ。だから、謎とはいってもわりと いい加減な謎なんですよ。

だから僕がほんとの「白旗」はこういう意味があるに違いないと思うことは、 それがおもしろければそっちの方が正解だよね。 という、かなり緩いモンなんですよ。「暗号」とはいえね。