架空楽団ライブ・イン東京 '99




【第2部】
第2部の冒頭では、Choで参加しているリリカがオリジナル曲「水車」を披露。Agとアコーディオンの男女2人組である。緊張のせいかぎこちないところもあったのだが、途中からは会場もすっかり引き込まれた。今後が楽しみなユニットだ。そして架空楽団登場で、「空飛ぶ理科教室」「BTOF」というアコースティックコーナー。サンプラーによる宇宙的な効果音と、ノスタルジックな挿し絵のスライド映像が印象的だった。次はまたも聴き物。「午後のレディ」の'76年のライブVer.。アップテンポで原曲とは印象がかなり違うが、とても楽しいアレンジ。再び豪華なゲストが続く。はちみつぱいのボーヤをやっていたのだという伊藤ヨタロウさん。意外な選曲で「無防備都市」。飛び跳ね、叫びながらの熱唱。次はかしぶち哲郎
さん。昨年の岡山ライブの時よりも一層オリジナルに近い「釣り糸」。架空との共演はもうすっかり慣れた様子で、リラックスして楽しそうに歌っていた。そして初共演となるもう一人、武川雅寛さんがVlnを手に登場。佐藤さんとのWバイオリンという豪華な布陣で、いきなり「Acid Moonlight」。主旋律を彼女に任せて、武川さんのVlnが低音で歌う歌う。そして「スイマー」。一転して激しい演奏で、架空楽団もめいっぱい盛り上げる。間奏では、Vlnの壮絶なソロバトル!これは歴史に残る名場面だったと思う。黒瀬さんは「今、ムーンライダーズの皆さんが帰らないように、楽屋に幽閉しております。」と後への期待をふくらませる。

「うちのVoが20年わたって練り上げた芸を」という石原さんの前振りに、黒瀬さんが「お、入ってる入ってる、あがたが降りた!」。山田さんは模型飛行機を右手に高々と掲げている。そして始まったのが「PRELUDE TO HIJACKER」。これは伏線だった。「天空を舞うイカロスの翼…」と山田さんの語りが始まる。空からに見える風景を語っていくという設定で、客席に呼びかけたり、各楽器で渡り鳥
やチャルメラや汽笛、ドラムでYMOまで登場させて会場全体を巻き込み盛り上げながら、「ほらドーバー海峡が見えてきた…」と「エアプレイン」に入ってゆく。まさにあがたさんが憑依したような熱演だった。

第2部最後は、無事到着した鈴木博文さん。まずはアコギを手に「僕は負けそうだ」。ライダーズをバックに博文さんがソロライブをやっているような、そんな印象を受けた。「博文さんのベース聴きたいですか?」と言うMCに歓声が上がる。「YBJ」。Voは山田さんがとり、博文さんはライダーズのライブと同じように、後方に下がって淡々とBを弾く。

本家と共演するというのは、コピーバンドにとって夢のような体験だと思うのだが、架空楽団は、そんな最中にもいつも観客の方を向いて、その喜びを共有しようとしている、そういう姿勢が感じられる。「見ているみんなだって、ムーンライダーズBAKA!だろ?」と。

休憩時間のビデオは、架空楽団製作の「日本少年2」プロモと、あがた監督の映画「渚のロキシー」予告編。それにしても今回の映像部門はすごい。演奏中に流れるのは用意された素材だけでなく、アップにされたメンバーの表情など、リアルタイムの映像が合成されているのだ。これがアマチュアのライブ!?





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