架空楽団ライブ・イン東京 '99




【第3部】

第3部はなんと「GYM」から。バックはジェニーちゃん人形が体操をするという、山田さん作の楽しい映像。間奏でのTpのソロは見事!また今回のコーラス陣のノリの良さ、元気さは特筆モノで、見てるだけで楽しくなってしまう。続いて、ゆったりとしたVlnソロの後、一転して激しいリズムに展開する「LostTime」。この曲は「月面讃歌」のツァーでは演奏されなかった。架空らしい、本家のスキを突
く選曲である。

第3部最初のゲストは、あがた森魚さん。「いつもあっけに取られて」とぼそぼそっと言う。そんなはにかんだ雰囲気の中で「まぶたと胸とで憶えてる」。歌い始めると、一転してあがた節炸裂。力強さに溢れた堂々たる歌いっぷりだ。後ろへ下がっていた山田さんも、最後のGソロに合わせて前へ出てくる。二人ともオートバイポーズで「ブルンブルン!」と唸り声を上げる。あがた、ニセあがた山田の競演!続いてはSpring Bellという二人組をバックに「港のロキシー」主題歌。なんだかあがたさんに乗っ取られたような格好だが、ヒートアップしてますます快調に飛ばしまくる。映画も楽しみだ。

再び架空楽団が登場。石原さんの第一声。「夢のような時間をご一緒に…。ではご紹介しましょう、鈴木慶一さんです。そしてもうひと方、かしぶちさん」慶一さんの軽い発声練習に続いて始まったのは…なんと「センチメンタル通り」だ。「海岸通りは大粒の雨…」という慶一さんの歌う1節目を「夜泣き電線 風にあわせて…」とかしぶちさんが受ける。アルバムと同じだ!慶一さんのボーカルはとても力強い。かしぶちさんはコーラスにも加わり慶一さんとハモる。曲が終ると、慶一さんとかしぶちさんとが握手。黒瀬さんは只一言「泣けた…」。これ以上に言うことがあるだろうか。

ゲストの豪華さは言うまでもない。しかもただ出演するだけではなく、他では決して見ることが出来ないだろうという選曲、編成。それを快く受け入れるご本家はもちろん、そんなことを企画する架空楽団のアイデアにも脱帽である。

会場全体が深い感慨に包まれ、その余韻に浸りながら架空楽団のコーナーへ戻る。「グルーピーに気をつけろ」。Gが前面に出たサウンドをシンセが彩り、ぶっといBとDrが支える、ロック色の強い演奏。
そのまま「いとこ同士」に突入。Vlnが大活躍のアレンジだ。良明さんばりのGソロもたっぷりで、この日一番のかっこ良さだった。そして「Sweet Bitter Candy」。会場中が大合唱。2番はこの日初めて石原さんがリードVo。黒瀬さんは観客一人一人と心を通わせるかのように会場を見渡す。最後の曲なんだな、というのが自然と納得出来てしまうような気持ちの盛り上がりが会場全体を包み込む。演奏終了後、フロント3人ががっちり握手し、架空楽団が退場…これで終ってしまっても良いというくらい素敵なエンディングだった。だが、それはそれとして、アンコールを求める拍手が止むはずもない。





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